ダヴィンチ・グリッドといわれているその形状は基本となる三角形の連続からなり、 平面的には限りなく広がっていく。
はじめは骨組みの絵図をボードに描き、それとて見比べながら進める。頭とイメージと体がなかなか一つにならないのだ。そうこうしているうちに骨組みの性質には一定の規則性があることに気づいてくる。格子の大きさ・三角形の集まる数・中心の空間の大きさなどを調整することで形ができていくことに。
- 互い違いに交差してつなぐ
- 一本の骨が二つの三角形の一辺を共有する
- 交点は1:2を基本とする
交点の比を調整することで三角形の大きさを変え、骨組みの角度を変え、ハウスの大きさを調整する。
【木の上でスタート】 - A.図では六角形だが、四角形以上のグリッドを用意する
- B.木の上で組み、最初の足場とする。
- C.二本の骨組みに3本目を組み付け、回りを三角形のグリッドにする

骨組みの要領がわかってきても、「巣」の空間を広げる段になると今度は容易に身体がついていけない。足場は不安定だし、その上でバランスを保ちながら作業することに慣れていないからだ。 木の上では身体バランスが要求される。その上、普段使われていない筋肉の動きやストレッチがなされてアスレチックなみの運動になる。 森に入るのは寒くなってから、まだ秋にはスズメバチも飛び交っている。年末に始めた骨組みも週末森に通いながら春には佳境を迎え、ゴールデンウィークには友達も手伝ってくれた。
骨組みの完成 この空間ができてしまえば、しめたもの。とはいっても、・・・外壁を張らなければならない。しかも梅雨前までには。
いろんな素材をためしてみた。先ずは麻布や麻袋を張ってみた。軽く安価で扱いやすいが防水塗装をするとなると「巣」の外側に出ての作業となり、それはあまりにも危険となるために断念した。 むしろこの素材は最終段階で「巣」の内側に内装材として張り付ければ見栄えが良くなるだろう。
次に試みたのは、余っていたプラスチック。雨を通さないロール状の波形シートを被せる。しかしこれは異物となった。(翌年この地を通過した台風は無残にも海側に面した波形シートを剥ぎ取っていった。あたりには散乱したゴミが散らばることになった)
波形シートですべて覆う。 軽量で安価な材料だったが、翌年襲った台風で無残にもほとんど剥ぎ取られる。
 内部に取り付けられたベンチ。
 内部より外装材のシートを取り付ける。
すべての作業を骨組みの内側で行うことができる。これがこのツリーハウスの一つの特徴である。籠のような骨組みがそれを可能にしている。
------------------------------------------------------- 【参考文献】Nexus Network Journal 10,1:Architecture and Mathematics
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