The Corrugated House by KENJI KAWAI

川合健二のコルゲートハウス

【形の力と象徴】

この家は地面に固定してないから地震に強い。その形は揺れを受けても抵抗しないところに力がある。

かつて川合健二は放射能被害を予見し、南半球への移住計画を真剣に考えていた。人類はまだ核エネルギーをコントロールするほどの技術や精神性を持ち合わせてはいない。

2012年の末以降、地球は人類の意識が否応なく様変わりするほどの変容を急速に遂げる。それにともない我々の社会構造はピラミッド型からホログラフィックな構造へとシフトして行く。つまり、情報の独占管理体制が消滅し、全ての情報を共有する無数の共同体がネットワークでつながる社会へと進化していくのだ。それは各々の共同体がエネルギーをも自給自足する完全自立型経済でもある。

川合健二はそのことをすでに予見し、実践に移していた。コルゲートハウスの側面、ハニカム構造はまさにその来るべき社会構造を象徴している。

The Power and The Symbol Behind The Form

                  • コルゲートハウス写真提供 社本善幸

                  • ポートレイト:『週刊現代』1995年9月2日掲載の写真より

写真提供:社本善幸

This house is not fixed to the ground. Therefore, it is strong to an earthquake. The form has power in the place which does not resist even if it receives a shake.

Once, Kenji Kawai foresaw radioactivity damage and he considered the migration plan to the Southern Hemisphere earnestly.Human beings have not yet acquired the technology and spirituality to control nuclear energy.

After the end of of 2012, the Earth will accomplish a rapid transformation. In parallel with it the consciousness of mankind is inexorably changed dramatically.

Accordingly, our social structure will be shifted from the pyramid type to the holographic type.

That is, the monopoly of information management system disappears. And we are going to evolve it into a social network that connects in countless communities that share all information. It is also a completely self-contained economy that can be self-sufficient in energy in each community.

Kenji Kawai had already foreseen that and he was moving to practice.

The side-honeycomb structure of this corrugeted house symbolize the social structure which should come.

                  • Photograph: Yosiyuki Syamoto

                  • Weekly magazine "Syukangendai" Photograph of printing Sep. 2. 1995 Hanako Kawai and Kenji Kawai

Photo album in my Face Book

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私にとって川合健二-コルゲートハウスとは

川合健二マニュアル

私に”住むための哲学”を最初に植えつけてくれた人が、川合健二氏でした。

波形状のプレートは軽量なうえ、強度が高く、施工・運搬が容易で経済的にも優れています。

段ボールの強度が、同じ重さの厚紙よりも高いのも、この波形状によるものです。

川合健二著

氏の環境・エネルギーの地球規模での取り組みの過程において、コルゲートの家は多くの人を魅了しました。

私もその内の一人であり、当事務所もそのコルゲートパイプでコンパクトな空間を作りました。(1995~1997)。

妻側のデザインはハニカム構造の利点を生かしてのこと。その奥行きは30cmは取るようにと川合氏に言われました。水や汚れが溜まりやすいので、どうしてかと問い正したところ、フレームから熱が放散するからと言っていました。

そのころの私は単純に、この波形曲面とハニカムの幾何学的美しさに魅了されていました。

もちろん、耐候性や経済的メリット(メンテナンスも含め)などはジオデシックドームよりも魅力的でした。

しかし、実際住むとなると、断熱性や換気性など自分なりにかなり工夫を加えていきました。

出来上がるころには、自分なりの建築に対するイメージが広がり、かつ造形・デザイン・幾何学といった素養もあいまって、ある種の幾何構造をともなったドーム状の建築物がヴィジョンとして浮かび上がってきたのです。

通常、私たちは主に直行3座軸にのとった家や人工物に囲まれて住んでいます。そしてこれを3次元(3D)とよく見なしています。ただ、コルゲートハウスは曲面を伴っているとはいえ、その次元的観点からするとチューブ状なので1次元といえます。

川合健二氏のハウスのように大きいと、さほどこの次元は意識しなかったかもしれません。

狭い一次元の空間から得たヴィジョンはネットワーク状のドーム構造でした。

繊維のように構造が相互に織りなし、互いに密接に組み合っている様を下から眺めている自分がいるのです。

それらの構造材は一見鳥の巣のように複雑に絡み合っていますが、すべては整然とした規則性に従っており、その規則性とは次元の織りなす幾何形態からくるものと予感していました。すなわち、次元が多数の方向から中心を目指して去来し、互いに反発しあうことで中空状の空間をつくっているのです。

しかし、当初はそうした漠然としたヴィジョンだけで、具体的な道筋などまったく見当たりませんでした。

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