原理‐Ⅰ

システムの構成要素である新たな体は、ゾーン多面体を核と設定し、それに対応する多軸体を形成することによってできる。

一例としてごく一般的なゾーン30面体(菱形30面体)を核として用いた場合を示す。図1は、その多面体A1の斜視図を示している。それは、同形状の菱形面30枚が連結して球形状の形態となっている。矢印の一点破線は、この多面体を形成する基軸となる座標軸である。

ゾーン多面体は、その体を形成する基軸となる座標軸を備えており、その座標軸は主に正多面体が備えている回転対称軸を用いている。その理由は幾何解析の簡便性にある。

この場合、正二十面体が備えている回転対称軸を抽出し、その軸構成に基づき体が形成されている。なお、ゾーン多面体の形成原理に基づけば、座標軸の構成が任意選択によるものでも体の形成は可能である。

図2は正二十面体のフレーム構造1を示している。体の原点2を貫通する軸線方向から見て、その軸線を中心に形状を回転することで元の形状に重なり一致する場合、この軸線を回転対称軸という。ここでは正二十面体の各頂点と原点2とを結ぶ線が回転対称軸(B10~B15)となっている。また、一回転の内、同形状となって重なる回数を数で示すことで、他の回転対称軸と区別している。この場合は、一回転の内、五回形状が重なるので五回転対称軸となる。

この回転対称軸を抽出し、これを座標軸と見なし、この座標軸を基に先のゾーン30面体は形成されている。そして、その形成過程においてはゾーンという概念が必要となってくる。この概念は後に説明する新たな体(多軸体)を形成する際にも必要となるため、次にこのゾーンについて説明しよう。

図3はゾーンを示す概念図である。ここではゾーンを単純化して示すため、前記座標軸の内、2本の座標軸(B10,B11)のみを抽出して示す。これらの座標軸が球を貫通する軸とみなした場合、その座標軸に対してゾーンは常に直角に位置する大円上の環状帯とみなすことができる。図中、鉛直の座標軸B10に対応するゾーンにあたる大円上の帯C10は、この座標軸に対して水平に位置し、実際のゾーン多面体においては菱形面の陵が互いに共有して連結する環状帯となる。

その実際のゾーンを次の図4で示す。

ゾーン30面体A1に鉛直に通る座標軸B10に対して直角に位置するゾーンC10は、斜線で示した面の連結帯であり、それは体を一回りして繋がっている。

次にこの繋がりをより明確に示すため、このゾーンC10および全ての座標軸を抽出し、座標軸B10の方向より見るこのゾーンを平面図で示す。

図6はその平面図であり、図の中心に位置する座標軸B10に対応するゾーンC10が多角形の輪郭を描き、該座標軸を中心に環状に位置していることが理解できる。

なお、この図においてゾーンC10は多角形を見せており、その頂点は図4で示すゾーンC10の稜線である。この稜線は、当該ゾーンに対応する座標軸に対して常に平行に位置していることもゾーンの特徴である。

また、図3に戻って、第二の座標軸B11に対応するゾーンは、その座標軸に対して直角に位置する大円上の帯C11である。実際のゾーン多面体においては、図5で示すように、図中斜線で示す菱形面の連結帯であるゾーンC11となる。

以上説明したように、ゾーン多面体は、その体の備える座標軸を基軸にゾーンを形成し、それらのゾーンが互いに重なり合うことによって体全体が形成されている。

ゾーン30面体とその座標軸構成

図1

正20面体とその座標軸構成

図2

ゾーン(Zone)を示す概念図

図3

ゾーン30面体を構成するゾーン

図4

原理の説明Ⅱ

ゾーン30面体を構成するゾーン

図5

ゾーンの平面図

図6