- 1. 原理モデル


・・・・・・・・それでは次に、システムから形成するドームの形態を示していこう。

理論的には限度がないため広がりすぎてしまう、おおよそ建築物への適用を考慮すればその具体的な形態は限られてくるので、それらを示していこう。先ずは、システムから導かれるの基本的な形態を取り上げる。

その典型的な例は、第一工程において核として設定するゾーン多面体にゾーン90面体を用いる。

第二工程は、このゾーン多面体に基づくゾーン多軸体の形成である。その形成にはこのゾーン多面体の備えている座標軸およびゾーンを用いることになる。そこで先ず、この座標軸およびそのゾーンを明確に示すため、当該ゾーン多面体の形成から説明しよう。

前記ゾーン多面体の備えている座標軸とは、ゾーン多面体を形成する基軸となる座標軸のことである。ゾーン多面体の形成原理に基づけば、任意設定した座標軸構成から体を形成することができるが、一般的なゾーン多面体は主に正多面体の備えている回転対称軸を座標軸に用いている。その理由としては幾何解析や設計が容易であるからである。

 ゾーン90面体も同様であり、正十二面体の備えている3回転対称軸を基軸に形成されている。
図15は、その正十二面体4およびその多面体の備えている3回転対称軸(B20~B29)を示している。
なお、この回転対称軸という名称は正多面体に関わる場合のみ用い、システムを構成する各工程においてはこれを座標軸と呼び区別する。

 ゾーン90面体は、これら10本から構成する回転対称軸を正十二面体から抽出し、これを座標軸とし、各座標軸に対応するゾーンの形成を行なうことでその体が形成される。

当該ゾーン多面体の形成過程を示すため、図中鉛直に位置する座標軸B20の方向より見るこの座標軸構成を図16で示す。この図においては、座標軸B20に対応するゾーンC20の形成が示されている。そして、他のすべての座標軸に対しても同様にゾーンの形成を行なうことで、図17で示すゾーン90面体A2が形成される。

次に第二工程のゾーン多軸体の形成を説明する。この工程の初段階では、ゾーン多軸体を形成するための手段として、ゾーン延長面による構成を行う。その構成によって立体状構成要素の形状を定めることができる。すなわち、それによって立体状構成要素の断面が収まる位置を定める基準線が求められる。

図18は当該ゾーン多面体の一つの座標軸B20に対応するゾーンC20を平面図で示し、立体状構成要素が配置する位置を示している。その配置を定める基準線は、次に示す要領で求める。

ゾーンの一つ置きの面をそのゾーンに対応する座標軸に対して平行に延長し、これをゾーン延長面とする。当該図面で示せば、円柱状の立体状構成要素(D20b,D20a)の内方に位置するゾーン構成面であり、この面を対応する座標軸B20に対して平行に延長する。図においてその断面は実線で示されている。

そしてこの設定をすべてのゾーンに対しても同様に行うことで、ゾーン多面体の外殻をゾーン延長面によって構成する。図19はそのゾーン延長面による構成G2を示すものである。

しかしゾーンを構成する一つの面は、二つゾーンにも含まれており、二つの座標軸にも対応している。よって、この設定に従えばゾーンの一つの面は二つの座標軸方向に対してもゾーン延長面を形成する場合もありえる。その場合、ゾーン延長面を形成しないゾーン構成面が生じることになる。

そこで設定には、ゾーンの一つの面は一つのゾーン延長面に対応するという条件を加える。これによってゾーン上にゾーン延長面が互いに重なることなく配置することができる。

 次の段階では、このゾーン延長面による構成を基に立体状構成要素の断面の位置を定める。
図18に戻って示すと、座標軸B20に平行に位置するゾーン延長面の断面である線とその両端に位置する他のゾーン延長面が示す線F2によって囲む空間に目的とする立体状構造要素の断面が位置する。すなわちこの図では立体状構成要素(D20b,D20a)の断面が位置する三角形の空間である。

先に述べた幾何学的構造の原理の項では、ゾーン多軸体の構造原理を端的に示すため、この立体状構成要素を円柱状の軸で示した。しかしこの立体状構成要素は、目的とする最終構築物において構造用要素となり、その形態は角柱状や立体トラスのフレームワーク・パネル状・あるいはそれらのいずれかの組合せであっても可能となる。その具体例は後に幾つかの例で示していくが、この形態においてもゾーン多軸体の形成を端的に示す必要があるため、立体状構成要素の形状を円柱状の軸とする。

立体状構成要素の断面の位置をより明確に図示するため、図18右下の2つの立体状構成要素(D20b,D20a)を拡大して説明する。

図20はその拡大図である。立体状構成要素(D20b,D20a)の断面は、ゾーン延長面によって囲む三角形の空間の三辺に内接する位置に置く。この図から分かるが、立体状構成要素(D20b,D20a)はその外方に交差して位置する他の立体状構成要素(D23a,D21a,D24b)と接することになる。

この様に断面の位置設定をすることで、各立体状構成要素は互いに点を介して接することになる。さらにそのドーム型構造体においては、この接点に接続手段としてコネクタ等を設けることによりその基本構造を固定することになる。

そしてこの工程の第三段階では、前記立体状構成要素の断面をその垂直方向へと平行移動することによって円柱状の立体状構成要素を形成する。

 以上述べた設定に従って、当該ゾーンC20上に配置した立体状構成要素の斜視図を次の図21で示す。
図中、鉛直に位置する座標軸B20に対応するゾーンC20は斜線で示している。そのゾーン上に位置する立体状構成要素(D20a,D20b)は、該立体状構成要素に対応する座標軸B20の方向に対して理論上無限に延長しているが、この構成を明瞭にするため、その交差箇所を除き延長部は省略して示している。

 立体状構成要素(D20a,D20b)は円柱状の形状であり、その断面は先の設定によってそれぞれ大きさが若干異なっている。それにより2種類の立体状構成要素からゾーン多軸体が成り立つことになる。この直径を同じ大きさに設定にして、一種類の直径の立体状構成要素からなるゾーン多軸体を形成すれば、それは単一形状の部材からなり経済的な効果を上げることができる。
その場合、立体状構成要素の断面位置設定において、その直径もしくは断面形状を統一し、且つ各立体状構成要素が互いに点もしくは面を介して接することができるように位置の調整を行えばよい。

 以下、この立体状構成要素の断面位置設定を追加して説明する。図を参照に示すと、図22は当該座標軸B20の方向から見た該座標軸に対応するゾーンC20上の立体状構成要素の位置範囲を示した平面図である。その設定は図中斜線で示す範囲、すなわち立体状構成要素を配置するゾーン構成面とその左右に位置するゾーン構成面の延長F2の線との交差によって形成する空間(H20a,H20b)を立体状構成要素が貫通する空間と設定すればよい。そしてこの空間内で各立体状構成要素の直径もしくは断面形状を統一し、各立体状構成要素が互いに交差する箇所に接続手段であるコネクタ等を設けることになる。なお以下、この立体状構成要素の貫通する空間を立体状構成要素の貫通空間Hという。

なお、立体状構成要素の断面位置設定は必ずしもこの貫通空間内に限定するものではなく、その立体状構成要素の断面の一部分がその空間内に位置することによっても成り立つ。

例えば、当該円柱状の立体状構成要素の接続が点を介したものでなく、どちらかの立体状構成要素が他方の立体状構成要素を貫通して交差する場合である。

具体的に図面を用いてその断面位置設定を説明するため、先の図20における立体状構成要素(D20a,D20b)の断面を拡大して示す。

図23は、その二つの断面を対応する座標軸方向から見た拡大平面図であり、その位置を個々に示したものである。同図(b)で示す立体状構成要素D20bの断面は立体状構成要素の貫通空間H20b内に収まっている。その直径と同じ大きさに他の立体状構成要素も統一すれば、同図(a)で示す立体状構成要素D20aの断面内方部分が立体状構成要素の貫通空間H20aを内方側に越えて位置することになる。それと同時に、この立体状構成要素D20aは、同図(b)で示す立体状構成要素D20bの外方に位置する立体状構成要素D21aと同形状であり、その内方に位置する立体状構成要素D20bと互いに双貫して交差することになる。

当該設定では、双貫部6で示すように、立体状構成要素D21aがその内方に位置する立体状構成要素D20bによって貫通される場合であり、両立体状構成要素は双貫部における貫通面を介して互いに交差することになる。

なお、当該例の立体状構成要素を角柱状の形状で示した場合、その交差箇所の形状は軸組工法に見られるような仕口加工となる。その最終構築物においては、その接続箇所に固定金物等を設け固定すればよい。

そして前述の断面位置設定による立体状構成要素の形成を他の各立体状構成要素の貫通空間に対しても同様に行うことにより、ゾーン多面体の外殻に立体状構成要素を形成する。

最後の段階では、それらの立体状構成要素を抽出することでゾーン多軸体を形成することになる。図24はそのゾーン多軸体E2を示す図である。円柱状の立体状構成要素の断面位置設定は、最初に示した設定に従っている。またその立体状構成要素は理論上無限延長の長さを有するが、当該ゾーン多軸体を明確に示すため相互に交差する箇所を残し、その外方延長部を切断して示している。

第三工程においては、前記立体状構成要素の互いに交差する箇所を保持した上で、その外方延長部を任意の箇所にて切断して取り除き、残る内方側を目的とするドーム型構造体を構築する構造用要素に転換し、それらが互いに交差する箇所に接続する手段を設けることで中空状構造体を形成する。

当該立体状構成要素は円柱状の形状であり、これを構造用要素とすることから、中空状構造体の形成にはパイプ状の鋼管材を用いることができる。その場合、接続手段としては仮設用鋼管パイプのクランプの様に互いの交差箇所を固定するコネクタを取り付けてもよいし、あらかじめ鋼管材に互いに接続するためのジョイント金具を設けておいてもよい。

なお当該中空状構造体を示す図は、先に示した図24の当該ゾーン多軸体を示す図により容易に理解できるため省略する。

第四工程においては、このようにして形成する中空状構造体の主要な構造用要素を抽出して目的とするドーム型構造体を構築する。その主要な構造用要素とは、ドームの天蓋部およびそれを支える支柱部に該当する箇所である。更に、該構造用要素を任意箇所にて延長もしくは切断・削除、更に平行に反復追加することで目的とする構造体を変容することもできる。

具体的に、そのドーム型構造体の一例を以下の図面で示す。図25で示すドーム型構造体L2aは、中空状の内部空間を有する自立可能な構造を示している。なお、各構造用要素を接続するコネクタの図示は省略する。

このドーム型構造体L2aは、前記中空状構造体から天蓋部用の構造用要素ならびに立地面に垂直に位置して支柱となる構造用要素を抽出して成り立っている。その構築においては、鉛直に位置する座標軸B20に対応する構造用要素(J20a,J20b)を下方向に延長し、それらを設置面にて切断し、天蓋部を支える安定した支柱となしている。

必要に応じ、天蓋部の高さを図が示すよりも高く設定するならば、支柱となる構造用要素(J20a,J20b)に対して斜めに接続する支持材を下方向に反復かつ平行に設置すれば構造としての安定を図ることができる。例えば図中二点破線で示した構造用要素7は、その上方に位置する構造用要素J24bの平行かつ反復を想定している。

またこの構造体に対してより広い空間を得たいならば、任意の座標軸に対応する一組の構造用要素の中間部分を延長し、構造体内部の空間を広げることができる。

例えば、図中座標軸B24に対応する構造用要素(J24a,J24b)は、天蓋部中心を斜めに他の構造用要素と交差して連結しており、この構造用要素の中間部を延長することによってより広い内部空間形成することができる。

図26はその拡大した構造体L2bを示している。この延長にともなって、構造用要素(J24a,J24b)の外方に交差して接続する他の構造用要素を平行かつ反復して追加接続することによって天蓋構造部のより一層の安定を図ることができる。そして立地面に垂直に位置する支柱となる構造用要素の延長部を接地面にて水平に切断することで、ドーム型構造体が自立可能となる。





  骨組み構造へ





正12面体の座標軸
図15

座標軸から導くゾーン、その平面図
図16

ゾーン90面体(菱形90面体)
図17

一つのゾーンに配置したゾーン延長面
図18

ゾーン90面体に準じるゾーン延長面の構成
図19


ゾーンに配置した軸の拡大図
図20


一つのゾーンに配置した軸構成
図21


立体状構成要素の貫通空間
図22



貫通空間内に配置する軸の拡大図
図23



すべてのゾーンに配置する軸構成の抽出
(ゾーン多軸体)
図24



多軸体構造のドームへの技術転用
図25



ゾーンの法則によって延長した多軸体ドーム
図26