神聖幾何学を基軸に置いて建築の進展を展望するならば、その幾何学的進化による空間の具現化に伴う構造様式の違いに注目しなければなりません。 それによって、これから示す新たな建築の歴史的背景とその未来に向けてのビジョンが明確になっていくからです。 その建築は、第三の構造様式に含まれるものです。それに先立つ二つの様式を含む三つの構造様式は、技術的な進化や幾何学的進化による区分ではありません。 一見、歴史的な時系列で区分されている様に思われますが、いづれの構造もそれを形成するための原初的な構築技術が根底にあり、それがある幾何学的な分析により区分されています。 先ず、第一の構造様式とは、端的にいえば組積造、すなわち積み上げたり、組み上げたりする構造をさしていいます。 この構造様式によってできた典型的なドーム建築はイスタンブールにあるアヤソフィアです。またこの様式で世界最大のドーム建築には、フィレンツェのサンタマリア・デル・フィオーレ大聖堂があります。 このドームの天蓋にはそのレンガの積み方に特徴があり、それ以前とは異なる工法が用いられています。二重構造に加え、異なる方向に重ねてレンガを積み上げる様は、馬の筋肉繊維の重なり具合を思わせます。 また、第二の構造様式とはラーメン構造(線材構造)です。おもに鉄骨である線材の端部を互いにもしくは材自体に接続するパターンによるものです。 日本建築の在来軸組み工法もこれに含まれます。また、コンクリート建築なるものも骨組みによるもので現在はこの構造様式に含まれるといってよいでしょう。 フラードームで知られるジオデシックドームは、このパターンによる最もエネルギー効率を高めた形態です。 それに対し、第三の構造様式とは、組織造、すなわち繊維を織りなすごとき構造からなる建築のことを意味します。 その代表的なものに、相互依存形式による構造があります。 そのような構造パターンの原型は、すでに中世ルネサンス時代にレオナルド・ダビンチも見いだしております。 また、それらは近年の研究により相互依存形式(レシプロカル)もしくはマルチレシプロカルグリット(MRG構造)ともいわれています。 |
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