- 6 ゾーン多軸体
核との合一
そして私は、この多軸体の永年にわたる研究過程において、以下の点でゾーン多面体との接点を見出すに至った。
それは、ゾーン多面体が備えている座標軸構成と多軸体が備えている座標軸構成には同一のものがあるという点である。
それを具体的に説明すると、ステュアートT.コッフィンの木組みのパズルを分析することで明確となる。
図235
図247
図235で示した6本の座標軸を形成する多軸体対応のパズル19の内部には菱形30面体を想定することができる。このパズルを分解し、その内部に菱形30面体を想定した状態を図247で示す。パズルピース19の内方面は、菱形30面体10の菱形面と面を共有し、菱形30面体はパズル内部に隙間がなく収まることになる。
図242
図248
図242で示した4本の座標軸を形成する多軸体対応のパズル23においてもその内部には菱形12面体9を想定することができる。そのパズルを分解し、その内部に菱形12面体を想定した状態を図248で示す。パズルピースの内方面は、菱形12面体9の菱形面と面を共有し、菱形12面体はパズル内部に隙間がなく収まることになる。
図243
図249
更に、図243で示した3つの座標軸を形成する多軸体対応のパズル24においてもその内部に正6面体を想定することができる。このパズル構成を分解し、その内部に正6面体を想定した状態を図249で示す。このパズルピース24の内方面は、正6面体8の面と面を共有し、正6面体はパズル内部に隙間がなく収まることになる。これら内部に収まる三つの多面体は、古典的な多面体の範疇に属する多面体ではあるが、ゾーン多面体の範疇にも属している。
ここにおいて私は、他に座標軸を形成する多軸体においても、その内部にはゾーン多面体を内包することができることに気づいた。
このことは、逆にゾーン多面体に観点を移せば次の様に言い換えることができる。
ゾーン多面体を中心に据え、核模型とし、そのゾーン上にこのゾーン多面体が備えている座標軸に対して平行に軸を配置することによってゾーン多面体に準じる多軸体を形成することができる。
それについては、他のゾーン多面体を核模型として設定し、図面を参照にその形成を説明すればより明瞭となるであろう。
一例として図191で示したゾーン42面体を核模型と設定し、円柱状軸による多軸体を形成すれば図250で示す多軸体となる。それぞれの軸は無限に延長する状態であるが、図中においては各軸が互いに接する箇所付近より外方側は切断し省略して示す。そして内部にはゾーン42面体を内包する構造となり、図中ではその多面体を二点破線で示している。
図191
図250
ゾーン多面体に対応する軸の配置は、各ゾーン上の一つ置きの面に稜線と平行になるように軸を配置する。その際、ゾーン上の一つの面は、二つのゾーン共有しているため二つの座標軸に対して軸を配しえるが、ゾーン上の一つの面は常に一つの軸に対応するという設定によって、各軸はゾーン多面体の外殻を互い違いに交差して構成することができる。なお、その軸構成における軸の交差と重なりは、右重ね旋回若しくは左重ね旋回の鏡像の性質を有するものがある。
この様にゾーン多面体を内包し、この多面体の備えている座標軸に準ずる軸構成による多軸体については、今日の幾何の範疇において明確な概念を示す名称がない。
そのため私は、この多軸体をゾーン多面体に準じる多軸体という意味でゾーン多軸体と命名する。