角柱状骨組
以上のドーム型構造体は、その構造用要素が円柱状の材料からなる場合であったが、 次に示すタイプはそれが角柱状の材料からなる場合である。その構造用要素は、その断面形状が矩形であることから、木材の他、H鋼によるものを想定することができる。
核として、引き続き先に示したゾーン90面体を用いる。その第二工程ではゾーン多軸体を形成し、その立体状構成要素の断面は矩形をなすが、その配置設定については前例同様であるため説明は省略する。
よって第三工程より説明する。当該ゾーン多軸体に対応する中空状構造体K6を図33で示す。当該実施例においては、その構造用要素の断面が矩形であることから角材を用いることにする。なお、各構造用要素の延長部分は、その接続箇所より外方を斜めに切断して取り除いている。また当該図において、各構造用要素の互いに交差する箇所に施す接続手段はこの図面では示してはいない。
構造用要素がこの様に角材である場合、それらを相互に連結する接続手段は、金属板による溶接成型あるいは鋳型成型によるコネクタを用い、これと材とをボルトで固定すればよい。当該実施例においてはこの接続手段をコネクタとする。そのコネクタを構造用要素に取り付けた一例を、図中2点破線の円形範囲8を拡大して示す。
図34がその拡大図であり、各コネクタ(M6a,M6b,M6c)は、2本の構造用要素が交差する角度を固定し、ボルトによってコネクタ自身と材とを接続している。このコネクタの種類は構造用要素の交差する角度により異なり三種類となる。
更に、このコネクタおよび支持材の固定をより明瞭に示すため、図中上部に位置するコネクタM6cを代表にその細部について図面を参照に説明する。
図35はコネクタM6cとそれを介して接続する2本の構造用要素を抽出した斜視図である。この図が示す様に、コネクタは金属板もしくは鋳型成型によるものでよく、設計は当該ゾーン多軸体の幾何解析に基づいて行う。また、このコネクタが示す様に、構造用要素の片側だけをコネクタのフランジ部分で受けてボルトによって固定することで、施工時における最終構築物の組立てを容易にすることができる。
角柱によるゾーン90多軸体の構造
図33
角柱の接合箇所を示す拡大図
図34
このタイプの構造用要素を設計するには、第二工程における立体状構成要素を先に示した図22を参照に配置し、以下のように設定すればよい。
図36は、図33で示した中空状構造体が備えている一つの座標軸B20の方向から見る、該座標軸に対応する構造用要素を部分的に抽出した平面図である。前工程での立体状構成要素の貫通空間は2種類あり、それぞれ図36の(a),(b)で示している。
この平面図で示す立体状構成要素の貫通空間(H20a,H20b)は、ゾーンC20におけるゾーン延長面F2が示す線およびその両端に位置する他のゾーン延長面F2が示す線との交差によって囲む空間である。この空間に立体状構成要素の断面全て、あるいはその部分が位置することになる。そして次の工程にてその立体状構成要素を構造用要素へと転換する。このパターンにおいては、構造用要素の製造過程における経済性を高めるため、その断面形状を一種類に統一している。なお図中、この構造用要素に施す接続手段(M6a,M6b,M6c)はコネクタを示している。
図37で示すドーム型構造体L6は、中空状の内部空間を有する自立可能な構造を示す一例である。図中鉛直に位置する座標軸B20に対応する全ての構造用要素(J60a,J60b)を設置面に向けて延長し、それらを接地水平面にて切断することで天蓋部分にあたる構造用要素を支える支柱を形成している。なお、この図面においてコネクタを示す箇所は省略する。
この構造体の最終構築物への適用として、その組立ての簡易性からパーゴラ等に用いることができる他、構造体内側に天蓋シートを支持材から均等に張ることで簡易のドームが出来上がり、各種イベントや屋外見本市等に利用できる。
更に、後に示す実施例では構造用要素をパネル化することで構築するドーム型構造体を示していくが、その骨組みとして利用することができる。
コネクタを示す拡大図
図35
接合断面図
図36
パネル構造へ
ゾーン90多軸体に準じる多軸体ドーム
図37
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