- 2. 課題

ドーム建築の幾何学的課題

ジオデシックドームやゾームのフレーム構造において、自重や外力は主にジョイントやコネクタに極所的に集中することになる。それに加え、支持部材には主に引っ張りと圧縮の力が掛かるため、剛性に対して強度はあるが柔軟性には乏しいという問題点がある。

またコネクタは、数本の支持部材が集中して結合するため複雑な形状となる他、荷重に耐えるだけの剛性が必要となるため、重量があり高価なものとなっている。

Florian Tuczek(フロリアン・ツゼック)は、この点をパネル構造によって回避すると共に、従来の幾何学的システムに形態の自由度を有する仕組みを組み込み、それによって建築への適用の範囲を従来よりも広げた。

一方、それに対して新たなフレーム構造に注目したOlivier Baverel(オリバー・バベレル)は、剛性を有しつつも柔軟性のある構造を構成するため、従来とはまったく異なるフレーム構造によるモジュールを考案し、それによってドーム型の構造を形成することができるMRG構造を提案した。

しかし、この構造はジオデシックドームやゾームのように構造を構築するための幾何学的原理を内包するものではないため、設計する際の幾何解析は困難であり、接地面と支持部材の位置関係は改良型のジオデシックドームやゾームと比べ不規則となり、基礎部の施工にコストがかかる。

またそのルーフィングにおいては、支持部材が交差することによって板状の屋根材を敷くことは設計や施工において困難な点があり、その代わり柔軟なシート状の幕を張ることを提案している。

しかし、それによって恒久建築物への適用には限界があるという問題点も有している。

私はこのMRG構造の事情を鑑み、

その構造の利点を生かしつつも、幾何学的構造の原理を内包することにより、

①幾何解析及び設計を容易とすることができるドーム型の構造体を発表するに至った。

その目的は、最終構築物の

②形態に自由度があるドーム型の構造体を提供することにある。

その他、

③自立型で安定した設置が可能となるドーム型の構造体を提供することあり、さらに、最終構築物の構造用要素がフレームによるものだけでなく、パネル材や立体トラスによっても形成することのでき、それによって、

④恒久的建築物への適用範囲を広げることができるドーム型の構造体を提供することにある。

元来、発明には目的が最初にあるとは限らない。アイデアが降りて来てから後に目的を見いだすパターンがあるが、私の場合もこの部類に入る。

先に挙げた目的は社会的に2次的なもの、すなわち我々の科学技術では理解できる前提として文章にまとめたものだ。

しかし、本来の目的は別にある。

それについては今後「幾何学」の項で念入りに述べていことにしよう。

上から三段にかけては、相互依存形式、すなわちMRG構造のモジュール(最小単位)、の連結を示している。

その下の段左は、従来のフレーム構造の連結点における荷重の局所的集中を示しており、その左の図はMRGによる荷重の分散を示している。

MRG構造は、ジオデシック理論に即して構成することが可能だ。

しかし、球体という単一の形態以外に何らかのかたちを作り出すしくみはないのだろうか。

これに対して、Olivier Baverel(オリバー・バベレル)の取り組んだ形態は、平面を湾曲させた曲面からなるドーム型の構造であった。

私は、よりダイナミックに形態を変容させることができないものかと考えていた。あのゾーン多面体のように。

しかし当初、多軸体、MRG構造、相互依存形式の構造といった領域に入ったころは、その接点さえ見えなかった。

その下の段左は、従来のフレーム構造の連結点における荷重の局所的集中を示しており、その左の図はMRGによる荷重の分散を示している。

MRG構造は、ジオデシック理論に即して構成することが可能だ。

しかし、球体という単一の形態以外に何らかのかたちを作り出すしくみはないのだろうか。

これに対して、Olivier Baverel(オリバー・バベレル)の取り組んだ形態は、平面を湾曲させた曲面からなるドーム型の構造であった。

私は、よりダイナミックに形態を変容させることができないものかと考えていた。あのゾーン多面体のように。

しかし当初、多軸体、MRG構造、相互依存形式の構造といった領域に入ったころは、その接点さえ見えなかった。

システムの形成