複軸による骨組

次に示す実施例は、軸材を構造用要素とする構造体であるが、その立体状構成要素の貫通空間に軸材が2本通る場合である。

先に示した骨組み構造で示したドーム型構造体の内部空間は広く、ドームとしての有用性は高い。しかし核となるゾーン多面体の面数が比較的少ない場合、立体状構成要素の貫通空間内において前実施例同様に単軸を形成すれば、その内部空間は比較的狭くなり、その有効性は低くなってしまう。

例えば、ゾーン30面体とゾーン90面体のそれぞれを核とするゾーン多軸体(図11ならびに図24を参照)において、その立体状構成要素を単一の軸状とした場合、ゾーン多軸体の内部空間は前者の方が後者よりも狭くなることが分かる。

この様な比較的面数の少ないゾーン多面体を核として用い、かつ軸材を構造用要素とし、そのドーム型構造体において有効的な空間を形成したい場合は、その立体状構成要素の貫通空間内に複数の軸状の立体状構成要素を配置設定すればよい。

以下、この複数の軸を複軸といい、この複軸によって構築するドーム型構造体の詳細を説明する。なお、核としてはゾーン30面体を用いる。また、ゾーン多軸体を形成するためのゾーン延長面による構成は実施例5で示した通りである。よってこの構成による立体状構成要素の設定段階より説明する。

先ず、その立体状構成要素の貫通空間を図示する。先に示した実施例5はゾーン30面体を核としていたのでその図面を用いると、図40はゾーン30面体の外殻に設定された立体状構成要素の貫通空間を示している。そしてより詳細に図示する為、その部分範囲9を拡大して示す。

図58はその範囲を拡大し、立体状構成要素の貫通空間H10における複軸の断面位置設定を示している。この貫通空間H10内に複軸の断面位置を設定するには、その左右に交差して重なる他の立体状構成要素(D105,D102)を配置し、それらと接続可能となる様に左右に分かれて位置する二本の立体状構成要素D100を配置すればよい。当該例ではその第二工程であるゾーン多軸体の形成を端的に示すため、この立体状構成要素を円柱状の軸で示している。

ゾーン30面体に準じる多軸体

図11

ゾーン90面体に準じる多軸体

図24

ゾーン30面体に準じる立体状構成要素の貫通空間

図40

この設定によって形成するゾーン多軸体E10を次の図59で示す。当該実施例のドーム型構造体は、その構造用要素が角柱状の材からなり、その材の外殻をパネルで覆う構造とする。そこで次にこのゾーン多軸体の立体状構成要素の形状を角柱状に置き換える設定を示す。

図60は立体状構成要素の貫通空間H10を拡大した図であり、その空間に位置する角柱状およびパネル形状の構造用要素の断面を示している。立体状構成要素D100aの断面は円柱状に代わり角柱状を示している。それに加え、その外方に位置する山形の断面を示す第二の立体状構成要素D100bは、前記立体状構成要素の外殻を覆うパネル形状となっている。

これら2種類の立体状構成要素から形成するゾーン多軸体および第三工程に形成する中空状構造体の図示は省略する。

第四工程においては、目的とするドーム型構造体の構造用要素が角柱状の材からなり、それを骨組みとする。そこで先ず、その骨組み構造について図面を参照に説明する。

立体状構成要素の貫通空間に設定する複軸

図58

ゾーン30面体に準じる複軸による多軸体

図59

図61で示す構造がその構造用要素から構築するドーム型構造体L10aの骨組みである。なお各構造用要素の相互連結は、実施例4で示した構造体と同様の要領によるコネクタを介して行なっている。

次に、この骨組みに第二の構造用要素であるパネル材を取り付けることで最終的なドーム型構造体を形成する。そこで当該ゾーン多軸体ならびに中空状構造体を形成する工程において、その立体状構成要素を以下の様に設定する。

先に示した図60に戻って、その設定について説明する。先ず、図が示す第一の立体状構成要素(D105a,D102a)の外方延長部を切断線26によって切断して取り除く。またこれと並んで、図面では省略するが、その外方に接続することになるパネル材による第二の構造用要素の外方延長部も切断線26によって切断して取り除く。その際、その切断面側は開口部となるが、その部分にはその内方に接続するパネル材による構造用要素の側面と面を一つにするパネル材を施す。それによって、ドーム天蓋部を全てパネルで覆うことになる。

その第二のドーム型構造体L10bを図62で示す。この例が示す様にその最終構築物の基本構造が第一の構造用要素である骨組によって形成している場合、第二の構造用要素であるパネル材は、先に示した例のパネル材による構造要素の様に必ずしも相互に重なって連結する必要はない。むしろ、この第二の構造用要素は恒久的な構築物を目的とするドーム型構造体の屋根や外壁の形態と見なすことができる。

よって外部を覆うパネルを製造する場合、図63で示す様にその部分的パネルは集約して三つのパーツに集約してもよい。各パネルパーツは図62と照らし合わせれば、構造用要素J10aが三角形の輪郭を形成している箇所であり、構造用要素J10bは先に述べた切断面側のパネルを含む形状である。また構造用要素J10cは五角形を形成する箇所である。

複軸の接合部を示す断面

図60

複軸による自立型ドーム

図61

トラス構造へ

複軸を骨組みとたパネル構造のドーム

図62

パネルのモジュール

図63