原理‐Ⅱ


次に、ゾーン多面体に対応する多軸体の形成を説明しよう。
その形成は、ゾーン多面体を核と見なし、その外殻に多軸体の構成要素を規則的に配置することで可能となる。

その構成要素は一般的に軸状を成すが、その形状は必ずしも軸状に限定せずとも立体であれば体を形成することができる。よって、以下この構成要素を立体状構成要素という。

立体状構成要素の配置を平面図で示すと、図7は、図5で示したゾーンC10に対応する立体状構成要素の配置を示している。この図において立体状構成要素D10は、ゾーンC10に外接し、その断面を円とすれば、それは円柱状の軸となる。

その配置設定として、先ずゾーンにおける一つおきの面に対して外方側に立体状構成要素を規則的に配置していく。またその際、この立体状構成要素は対応するゾーンの稜ならびに座標軸に対して平行に位置する。

次に、この立体状構成要素の配置をすべてのゾーンに対して同様に設定を施す。その際、ゾーンの一つの面は二つのゾーンに含まれているため、ゾーンの一つの面には二つの立体状構成要素が配置することもありえる。その場合、ゾーンの他の一つの面には立体状構成要素が配置しないことになる。

そのため、ゾーンの一つの面には常に、一つの立体状構成要素が対応するという前提を設ける。それによって全てのゾーン面に立体状構成要素を配置することが可能となる。

この様にして配置する立体状構成要素の想定を次の図8で示す。その配置を端的に示すため立体状構成要素の長さは短縮し、その方向は矢印で示している。各ゾーンの一つ置きの面に置かれた立体状構成要素は、同一方向に配置している。その方向は、それが属するゾーンに対応する座標軸に対して平行に位置している。

例えば、座標軸B10に対応するゾーンの一つ置きの面には立体状構成要素D10が配置しており、それら複数の立体状構成要素は当該座標軸B10に対して平行に並列することになる。

なお、図7に戻ってゾーン上の立体状構成要素の配置箇所を逆に他方の一つ置きの面に設置すれば、図9で示すように立体状構成要素の延長方向の織りなす旋回は逆向きとなる。よって、その旋回方向は2種類あることが理解できる。

立体状構成要素の配置が定まった段階を経て、次の段階でその構成を行う。各立体状構成要素を延長していくが、それらが互いに接するか、あるいはそれらが互いに貫通するかの設定を行なう。


 そしてその想定段階から進展した立体状構成要素の構成を
図10で示す。
各立体状構成要素を互いに接する範囲で最短に延長することで、それらは互い違いに交差して構成をし、核である
ゾーン多面体A1を内包する多軸体E1を形成することになる。

そしてこの構成のみを抽出することで、図11で示す新たな体E1を形成することになる。

このようにゾーン多面体を核として成り立つ多軸体は、ゾーンシステムの性質を部分的にも引き継ぐことになり、後の実施例で示す様に形態の多様性を展開することができる。そのため多軸体の範疇において、他の多軸体(参考文献19,20,21参照)と区別する必要性が生じてくる。

そこで以下、ゾーン多面体を核として成り立つ多軸体をゾーン多軸体いい、他の多軸体との違いを明確にする。

なお、このゾーン多軸体を形成する際、すべてのゾーン多面体が核として適用できるわけではない。ゾーン多面体の一部においては、前述の設定によって立体状構成要素の配置構成をすることができず、体を形成することができないものがある。一つは平行四辺形以外の平行多角形の面を有するもの、もう一つは凹面を有するものである。

平行四辺形以外の平行多角形の面を有するゾーン多面体の数例を示せば、切頂8面体および斜方切頂立方8面体、斜方切頂20・12面体等である。これらの多面体に共通する点は、ゾーン面の二面角が水平へと変化し、立体状構成要素の配置が不可能となってしまうことである。

その点について具体的に一例を用いて示す。図12は切頂8面体3の斜視図であり、ゾーン多面体の顕著な特徴である平行四辺形の構成とは若干異なって見える。しかしゾーンシステムの理論に従えば、この体もゾーン多面体の範疇に入ることになる。

次の図13は、その理論に従ってゾーン構成面を浮き上がらせた切頂8面体を示している。六角形の面は三つの平行四辺形が連結して平面を形成し、その内の二つの平行四辺形が正方形と連結して体を一回りするゾーンを形成していることが分かる。そして、六角形内の二つの平行四辺形が稜線を介して織りなす角度は水平となっている。先に示した配置設定に従えば、この面上に配置する立体状構成要素は互いに貫通することになり、目的とする相互依存形式による構成は不可能となってしまう。

より具体的に図面を参照に示せば、図14はその立体状構成要素の配置を想定した図である。この図からその立体状構成要素を延長していくことを想定すれば、六角形の平面上に配置する三本の立体状構成要素が互いに貫通することが理解できる。

また、複数のゾーン多面体を連結することで凹面を有する形態もゾーン多面体の範疇に含まれている。しかし、これらの多面体においてもその凹面部への立体状構成要素の配置は、その構成要素が相互に貫通しあうことになり、相互依存形式によって構成することは不可能となる。よってゾーン多面体を核と設定した場合、その構成面は平行四辺形のみからなり、また該ゾーン多面体は凸型面からなることを条件とする。

以上、幾何学的構造の原理について述べた。


参考文献
【参考文献20】著者:宮崎興二、「建築のかたち百科」、出版社:彰国社、’00年第1版(多線体 pp94-95,日詰明男の立体組織およびアラン・ホールディングの星型多軸体p69の図9,日詰明男の立体組織 p94の図14)
【参考文献21】「形の文化誌4」、出版社:工作舎(生命の形と球と秩序構造―黄金軸と多軸体 pp118-127)






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ゾーン上に配置された立体状構成要素
図7

ゾーン30面体上に配置された立体状構成要素
図8

立体状構成要素の逆配置
図9

ゾーン30面体上の多軸体
図10

ゾーン30多軸体
図11

切頂8面体
図12


切頂8面体のゾーン
図13


ゾーン上に配置さされた立体状構成要素
図14